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犬が急に甘えなくなる理由|距離ができたと感じるときに見るべきこと

Spain, Gijon, back view of a man sitting on a meadow with his dog looking at distance
以前はよく寄ってきたのに、撫でようとしても離れる、呼んでも反応が薄い。そんな変化が起きると、「嫌われたのでは」「信頼関係が壊れたのでは」と不安になる飼い主は少なくありません。しかし、犬が甘えなくなる理由は、愛情が減ったからではなく、心や体の状態、環境の変化によるものであることがほとんどです。
甘えない=信頼していない、ではない
犬の甘え行動は、そのときの心身の余裕によって変化します。安心しているからこそ距離を取れる、という場合もあります。常にそばに来ないからといって、信頼がなくなったわけではありません。
距離を取る行動は、自立や落ち着きの表れであることもあります。
刺激や関わりが多すぎた可能性
撫でる回数が多い、声かけが頻繁、常に反応してしまう関係が続くと、犬は「ひとりで休む時間」を失います。その結果、無意識に距離を取ることでバランスを取ろうとします。
甘えなくなったのではなく、休もうとしている場合もあります。
体の違和感を避けている
関節や筋肉の軽い痛み、皮膚のかゆみなどがあると、触られること自体を避けるようになります。甘えなくなったように見えても、実際には「触られたくない」だけというケースも少なくありません。
撫でるときの反応や、体の動きにも注目する必要があります。
環境の変化が距離を生む
引っ越し、模様替え、家族構成の変化、生活リズムのズレなどは、犬の安心感に影響します。不安定な状態では、犬は甘えるより、周囲を観察することを優先します。
落ち着きが戻れば、関係性も自然に変化することがあります。
「前と同じ」を求めすぎていないか
以前の甘え方を基準にしてしまうと、少しの変化が大きな問題に見えてしまいます。しかし、犬も日々変化しており、関わり方が変わるのは自然なことです。
同じ形の甘えを求めることが、犬にとって負担になる場合もあります。

甘えは気分と余裕のバロメーター
甘え行動は、心と体に余裕があるときに自然と出るものです。余裕がないときに無理に引き出そうとすると、距離はさらに広がります。
甘えを引き出すより、余裕を作る視点が大切です。
距離を尊重すると関係は深まる
無理に近づかず、犬から寄ってきたときだけ応じるようにすると、犬は「距離を選べる」と感じます。この安心感が、結果的に信頼関係を安定させます。
触らないことも、関係を守る行動です。

まとめ
犬が急に甘えなくなるのは、愛情が減ったからではありません。心や体の状態、刺激の量、環境の変化などが影響していることがほとんどです。甘えを取り戻そうとするより、距離と余白を尊重すること。その姿勢が、結果として自然な甘えを引き寄せることにつながります。
それでも犬は、あなたを信じて待っている
犬と暮らす毎日は、特別な出来事の連続ではありません。
ごはんを用意して、散歩に出て、名前を呼んで、頭をなでる。
それだけの、何気ない日々です。
けれど犬にとって、その一日一日は、あなたと生きる「かけがえのない一生」です。
「犬の十戒」には、こんな言葉があります。
「私の生涯はだいたい10年から15年。あなたと別れるのは、何よりも辛いこと…。
私と暮らす際は、どうか別れのことを念頭において下さい。」
私たちが忙しさに追われている間にも、犬は今日という一日を、
あなたと過ごせるかどうかだけを基準に生きています。
叱られた日も、うまくいかなかった日も、犬は「それでもあなたが好きだ」という気持ちを手放しません。
落ち着きがない、言うことを聞かない、触られるのを嫌がる。
そんな姿を見ると、つい「困ったな」と思ってしまうかもしれません。
でも犬は、わざと困らせているのではありません。
うまく言葉にできない不安や痛みや寂しさを、体と行動で必死に知らせているだけなのです。
「私が言うことを聞かないと言って怒る前に、なにか原因があるのではないかと考えてみて下さい」
――十戒の8番は、いつも私たちに“見る順番”を教えてくれます。
私は、特別養護老人ホームでセラピードッグの訪問に関わっていました。
認知症が進み、表情もなく、手もほとんど動かない方が、
犬がそっと近づくと、ゆっくりと手を伸ばし、毛をなでる。
そして、何も語らず、ただ静かに涙を流される――
そんな光景を、私は何度も目にしました。
犬は言葉を使わずに、人の心の一番奥に触れてしまう存在なのだと、
そのたびに胸がいっぱいになりました。
そして、十戒の最後にはこう書かれています。
「『もう見てはいられない』『私はここにいたくない』と言わず、
私が旅立つその時まで、どうか一緒にいて下さい。
あなたに寄り添っていると、私はうんと安らかでいられるのです。
あなたを愛しているのですから。」
犬は最後の瞬間まで、あなたの声を探し、あなたの匂いを頼りにしています。
それでも犬は、弱った自分より、あなたの気持ちを心配します。
犬と暮らすということは、楽しい時間だけでなく、老いも、弱りも、別れも、引き受けるという約束です。
それでも犬は、あなたを責めることなく、ただ信じて、待って、寄り添い続けます。
犬の一生は短い。だからこそ、今日なでる手を大切にして下さい。
今日呼ぶ名前を、少しだけ優しくして下さい。
それが、犬にとっては、世界のすべてなのです。

