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犬が急にひとりでいたがる理由|距離を取る行動は拒絶ではない

以前は常にそばにいたのに、最近は別の部屋に行く、近くに来てもすぐ離れる。そんな様子を見ると、「嫌われたのでは」「関係が冷えたのでは」と不安になる飼い主は少なくありません。しかし、犬がひとりでいたがる行動は、拒絶や愛情低下ではなく、自分を整えるための自然な行動であることが多くあります。
ひとり時間は安心の証であることも
犬は本当に安心しているとき、自分で距離を取る選択ができるようになります。常に誰かのそばにいなければならない状態より、必要に応じて離れられる方が、心が安定している場合もあります。
ひとりでいられることは、不安ではなく自立の一面でもあります。
刺激や関わりが多すぎた可能性
撫でる、話しかける、目を合わせるといった関わりが続くと、犬は無意識に疲れを感じます。その結果、静かに休める場所を求めてひとりになろうとします。
距離を取る行動は、「休みたい」というサインであることもあります。
体調や体の変化を調整している
軽い痛みや違和感があると、犬は刺激を避ける傾向があります。触られない、動かされない環境を選ぶため、自然とひとりで過ごす時間が増えることがあります。
元気そうに見えても、体の声として現れている場合があります。
環境の変化に適応している途中
引っ越し、模様替え、生活リズムの変化などがあると、犬は一度距離を取り、周囲を観察する時間を必要とします。甘えるより、状況把握を優先している状態です。
落ち着けば、関わり方も自然と変わっていきます。
「前と同じ距離」を求めることの負担
以前の距離感を基準にしてしまうと、少しの変化が大きな問題に感じられます。しかし、犬も年齢や経験によって、快適な距離は変化します。
変わらないことより、変化を受け入れる視点が大切です。

無理に構うことで距離が広がることも
ひとりでいたがる犬を追いかけて構うと、「距離を守ってもらえない」と感じ、さらに離れようとすることがあります。尊重される経験が少ないほど、距離は固定されやすくなります。
近づかない選択が、関係を守ることもあります。
ひとり時間がある犬ほど関係は安定する
自分で休める、整えられる犬は、必要なときに自然と飼い主のもとに戻ってきます。距離があるからこそ、関係が安定するケースも多くあります。

まとめ
犬が急にひとりでいたがるのは、拒絶でも愛情不足でもありません。心や体を整えるための自然な選択であることがほとんどです。距離を縮めようとするより、距離を尊重すること。その姿勢が、結果として信頼関係を深め、穏やかな関係を長く保つことにつながります。
それでも犬は、あなたを信じて待っている
犬と暮らす毎日は、特別な出来事の連続ではありません。
ごはんを用意して、散歩に出て、名前を呼んで、頭をなでる。
それだけの、何気ない日々です。
けれど犬にとって、その一日一日は、あなたと生きる「かけがえのない一生」です。
「犬の十戒」には、こんな言葉があります。
「私の生涯はだいたい10年から15年。あなたと別れるのは、何よりも辛いこと…。
私と暮らす際は、どうか別れのことを念頭において下さい。」
私たちが忙しさに追われている間にも、犬は今日という一日を、
あなたと過ごせるかどうかだけを基準に生きています。
叱られた日も、うまくいかなかった日も、犬は「それでもあなたが好きだ」という気持ちを手放しません。
落ち着きがない、言うことを聞かない、触られるのを嫌がる。
そんな姿を見ると、つい「困ったな」と思ってしまうかもしれません。
でも犬は、わざと困らせているのではありません。
うまく言葉にできない不安や痛みや寂しさを、体と行動で必死に知らせているだけなのです。
「私が言うことを聞かないと言って怒る前に、なにか原因があるのではないかと考えてみて下さい」
――十戒の8番は、いつも私たちに“見る順番”を教えてくれます。
私は、特別養護老人ホームでセラピードッグの訪問に関わっていました。
認知症が進み、表情もなく、手もほとんど動かない方が、
犬がそっと近づくと、ゆっくりと手を伸ばし、毛をなでる。
そして、何も語らず、ただ静かに涙を流される――
そんな光景を、私は何度も目にしました。
犬は言葉を使わずに、人の心の一番奥に触れてしまう存在なのだと、
そのたびに胸がいっぱいになりました。
そして、十戒の最後にはこう書かれています。
「『もう見てはいられない』『私はここにいたくない』と言わず、
私が旅立つその時まで、どうか一緒にいて下さい。
あなたに寄り添っていると、私はうんと安らかでいられるのです。
あなたを愛しているのですから。」
犬は最後の瞬間まで、あなたの声を探し、あなたの匂いを頼りにしています。
それでも犬は、弱った自分より、あなたの気持ちを心配します。
犬と暮らすということは、楽しい時間だけでなく、老いも、弱りも、別れも、引き受けるという約束です。
それでも犬は、あなたを責めることなく、ただ信じて、待って、寄り添い続けます。
犬の一生は短い。だからこそ、今日なでる手を大切にして下さい。
今日呼ぶ名前を、少しだけ優しくして下さい。
それが、犬にとっては、世界のすべてなのです。

