※本記事にはプロモーションが含まれています。
犬が急に触られるのを嫌がる理由|性格の変化ではなく体と心のサイン

今まで普通に撫でさせてくれていたのに、急に手を避ける、唸る、立ち上がって逃げる。そんな変化があると、「性格が変わったのでは?」と不安になる飼い主は少なくありません。しかし、犬が触られるのを嫌がるようになる背景には、性格ではなく体や心の状態が関係していることが多くあります。行動の変化は、犬からの大切なサインです。
痛みや違和感が隠れていることがある
最も注意したいのが、体のどこかに痛みや不快感があるケースです。関節、腰、首、皮膚など、触られることで痛みが出る部位があると、犬はそれを避けるようになります。特にシニア期に入ると、目に見えない違和感が増えやすく、触られるのを嫌がる行動として表れることがあります。
「触ると怒る」のではなく、「触ると痛い」可能性をまず疑う視点が大切です。
過去の経験が影響している場合
トリミング、病院、無理な保定など、過去に嫌な体験をしたあとから触られるのを嫌がるようになる犬もいます。その記憶が体に残り、「触られる=嫌なことが起きる」と結びついてしまうと、防衛反応として距離を取るようになります。
この場合、急に嫌がるように見えても、犬の中では理由がはっきりしていることがあります。
構われすぎによるストレス
愛情表現のつもりで、頻繁に撫でる、抱きしめる、声をかけるといった行動が続くと、犬にとっては負担になることがあります。特に、休んでいるときや眠そうなときに触られることが続くと、「触られない時間が欲しい」という気持ちが強くなります。
触られること自体が嫌になったのではなく、タイミングが合っていないだけのケースも少なくありません。

自律神経の乱れと過敏さ
ストレスや生活リズムの乱れが続くと、自律神経が不安定になり、刺激に過敏になることがあります。普段なら気にならない接触が、不快に感じられるようになると、触られるのを避ける行動が増えます。
環境の変化、留守番の増加、多頭飼いでの我慢などが重なっていないか、生活全体を振り返ることが重要です。
「触られる=安心」が崩れたとき
犬にとって触られることは、安心につながる場合もあれば、逆に緊張を高める場合もあります。触られるたびに制御されたり、嫌なことが起きたりすると、「安心」のイメージが崩れてしまいます。
その結果、先回りして距離を取るようになり、触られるのを拒否する行動につながります。
嫌がるサインを見逃さない
犬は突然唸る前に、さまざまなサインを出しています。顔を背ける、体を固くする、耳を伏せる、あくびをするなどは、「今は触られたくない」という合図です。これらを無視して触り続けると、最終的に強い拒否行動に出ることがあります。
唸りや回避行動は、最後の警告だと受け止めることが大切です。
それでも犬は、あなたを信じて待っている
犬と暮らす毎日は、特別な出来事の連続ではありません。
ごはんを用意して、散歩に出て、名前を呼んで、頭をなでる。
それだけの、何気ない日々です。
けれど犬にとって、その一日一日は、あなたと生きる「かけがえのない一生」です。
「犬の十戒」には、こんな言葉があります。
「私の生涯はだいたい10年から15年。あなたと別れるのは、何よりも辛いこと…。
私と暮らす際は、どうか別れのことを念頭において下さい。」
私たちが忙しさに追われている間にも、犬は今日という一日を、
あなたと過ごせるかどうかだけを基準に生きています。
叱られた日も、うまくいかなかった日も、犬は「それでもあなたが好きだ」という気持ちを手放しません。
落ち着きがない、言うことを聞かない、触られるのを嫌がる。
そんな姿を見ると、つい「困ったな」と思ってしまうかもしれません。
でも犬は、わざと困らせているのではありません。
うまく言葉にできない不安や痛みや寂しさを、体と行動で必死に知らせているだけなのです。
「私が言うことを聞かないと言って怒る前に、なにか原因があるのではないかと考えてみて下さい」
――十戒の8番は、いつも私たちに“見る順番”を教えてくれます。
私は、特別養護老人ホームでセラピードッグの訪問に関わっていました。
認知症が進み、表情もなく、手もほとんど動かない方が、
犬がそっと近づくと、ゆっくりと手を伸ばし、毛をなでる。
そして、何も語らず、ただ静かに涙を流される――
そんな光景を、私は何度も目にしました。
犬は言葉を使わずに、人の心の一番奥に触れてしまう存在なのだと、
そのたびに胸がいっぱいになりました。
そして、十戒の最後にはこう書かれています。
「『もう見てはいられない』『私はここにいたくない』と言わず、
私が旅立つその時まで、どうか一緒にいて下さい。
あなたに寄り添っていると、私はうんと安らかでいられるのです。
あなたを愛しているのですから。」
犬は最後の瞬間まで、あなたの声を探し、あなたの匂いを頼りにしています。
それでも犬は、弱った自分より、あなたの気持ちを心配します。
犬と暮らすということは、楽しい時間だけでなく、老いも、弱りも、別れも、引き受けるという約束です。
それでも犬は、あなたを責めることなく、ただ信じて、待って、寄り添い続けます。
犬の一生は短い。だからこそ、今日なでる手を大切にして下さい。
今日呼ぶ名前を、少しだけ優しくして下さい。
それが、犬にとっては、世界のすべてなのです。

